
2019年現在でも人身売買というのが横行しているというのをご存じですか?
日本ではあまりそのような悲惨な情報は報道さませんが、実は世界ではかなり深刻な問題となっています。
そんなことが本当にあるのかと日本にいると信じられませんが、今回取り上げる事件は2011年に起きたアラスカ航空で人身売買された少女をCA(客室乗務員)の機転で救ったあるお話です。
アラスカ航空に乗っていた不審なふたり

米アラスカ航空の客室乗務員シリア・フェドリックさんが、シアトルからサンフランシスコへ向かう航空便に搭乗していました。
その中に、何日も洗っていないような髪でみすぼらしい恰好をした14~15歳くらいの少女が、身なりの整った男性の隣に座っているのを見て不信に思いました。
その少女の顔は「まるで地獄を経験してきたかのよう」で、フェドリックさんが話しかけようとしても、同行している男性に遮ぎられました。
フェドリックさんは、少女にトイレに行くようひそかにささやき、助けが必要かどうかメモで尋ねてトイレの鏡に貼っておいたのです。
少女はトイレに行き、そのメモを見て、
『助けてほしい』と返事が返ってきたのです。
人身売買の被害者だった少女
フェドリックさんは、このことを機長に報告し、通報を受けた警察が到着先のサンフランシスコで待ち受け、被害を食い止めることができました。
その後、警察の調べで少女は人身売買の犠牲者だったことが判明しその男は現行犯逮捕されました。
この事件が起きたのは2011年ですが、海外メディアがニュースで取り上げたことがきっかけで、世の中に拡散されました。

人身売買防止を啓発する活動
2009年に元CAのナンシー・リバードさんが慈善団体「エアライン・アンバサダーズ」を創設。
この団体は人身売買を食い止めるための活動で、プログラムに参加した客室乗務員(CA)に人身売買の犠牲者の見分け方や、その後の対応を指導する活動を続けています。
「エアライン・アンバサダーズ」によると人身売買の被害者は、
・制服姿の警備員を恐れる
・行き先を知らない
・不安そうに見える
・話しかけても定型的な答えしか返ってこない
・行き先にそぐわない服装
一方、犯罪を犯している加害者は、
・被害者を絶えず監視
・話しかけられると代わりに自分で答えようとする
・被害者の名前や個人的な情報を知らない
2016年だけでも、人身売買に関わったアメリカ移民税関捜査局が逮捕したのは、約2000人、被害者は約400人に上ることが確認されています。
エアライン・アンバサダーズは、人身売買の当事者が搭乗した場合に、客室乗務員がきちんと探し当て報告できるよう、2009年から講習などを開き、このような被害が出ないように努めています。
人身売買が最悪の現状の国
人身売買は想像を絶する劣悪な状況に置かれ、当然のように搾取、虐待されている人々は、世界のほとんど全ての国に存在します。
8年間(2011~2018年)連続で「最悪の現状」という評価を受けた国は、
・赤道ギニア
・エリトリア
・イラン
・北朝鮮
・リビア
・イエメン
の上記6か国です。
人身売買が発生する大きな要因の一つは極度の貧困です。
貧困地域では、高い非雇用率が常に問題となっています。
職を得られずに路頭に迷う人々は、人身売買業者の格好の餌食となり、生きていくために必死に仕事を得ようとするあまり、
人身売買業者に騙されて強制労働させられ、
売春などの性的産業に人身売買業者に騙されて強制労働させられ、
売春などの性的産業に従事させられたりしてしまう可能性も拡大します。
さらに、極度の貧困地帯においては、親が子供を売ることによって生活費を稼がざるを得ないという悲しい状況が実際に存在するのです。
アラスカ航空 人身売買される少女を救出した客室乗務員(CA)の機転とは? まとめ
日本は平和すぎて、まさか世界で人身売買がされているなんて想像もつかないような犯罪が横行している現実を知らなすぎます。
それは、あまり日本のメディアが取り上げないのも一つの原因です。
アラスカ航空の人身売買された少女が救われたのは本当にラッキーなことでしたが、少しでも私たちが世界の人身売買について知り、少しでも犠牲者を助けることができ、少しずつ撲滅できるように何か手助けできたらと心から思います。
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