2018年8月、メキシコのプエブラにあるアカトランという小さな街で、
「2人の男が子どもを誘拐して臓器を売りさばいた」というフェイクニュースが、
メッセージ・アプリ「ワッツアップ」で広まりました。
この噂は作り話だったのですが、誰も真偽を確認せず、興奮した群集が男性2人を集団リンチし、火をつけ焼き殺してしまったのです。
しかも完全な無実の男性ふたりを…
フェイクニュースで誘拐犯に仕立て上げられた男性ふたり
2018年8月29日の正午過ぎ、警察署に群衆が100人ほど集まっていました。
それは、この町の小さな留置所に2人の男性を連れて行くところでした。
パトカーの後ろに大勢の人たちが続き、この2人が子供を誘拐したのだと責め立て叫び声が上がったのです。
警察署の入り口にはとてもせまい門があり、その反対側から警察官が、
「2人は誘拐犯ではなく軽い犯罪を犯しただけだ!」
と殺気立った群集に何度も説明していました。
警察署内に座っていたのは、
リカルド・フロレス(Ricardo Flores)さん(21)とアルベルト・フロレス(Alberto Flore)さん(43)
引用:www.thesun.co.uk
リカルド(21)さんはアカトラン郊外で育ち、法律を学ぶために250キロ北東のハラパ市へ移り住んでいました。
おじのアルベルト(43)さんはアカトラン郊外の小さな地域で何十年も暮らしてきた農民です。
リカルドさんは最近、親類を訪ねるためにアカトランへ戻ってきていました。
親類によると、2人はその日、コンクリート・ブロックを使った井戸の工事を完成させようと、井戸掘りの材料を買うためにアカトランに出かけていたのです。
ただ買い物に来ていたふたりですが、なぜ誘拐犯に仕立て上げられたのでしょうか?
彼らは臓器売買に関与しているようです。ここ数日で4歳、8歳、14歳の子供達が姿を消しています。
この中の何人かの子供の腹部は臓器が切り取られ空の状態の死体も発見されました。
どこか知らないところででっち上げた嘘の話を、メッセージ・アプリのワッツアップで携帯電話から携帯電話へと拡散されたのです。
その時、小学校のそばにいたリカルドさんとアルベルトさんは、拡散されたフェイクニュースの誘拐犯ではと地元住民に声をかけられ、そこからフェイクニュースを信じた群衆がリカルドさんとアルベルトさんに対して大騒ぎしたため、警察は2人を「地域の秩序を乱した」という理由で身柄を拘束したのです
2人の逮捕の知らせは誘拐犯の噂と同じように広まり、そして警察署の外にいた群集は、まったく違う話を信じ込んでいたのです。
警察署から引きずり出されたふたりを集団リンチ
それから間もなく、群衆は一致団結して暴徒化したのです。
警察署の入り口にある狭い門は無理やりこじ開けられ、リカルドさんとアルベルトさんは引きずり出されました。
ふたりが警察署から出るとき、ある者は市役所にある鐘をならし住民らに二人が出されたことを知らせました。
そして、ある者はガソリンを買うための寄付を呼び掛け、このガソリンはリカルドさんとアルベルトさんを焼き払うためのものでした。
警察官が「彼らは軽犯罪で誘拐犯ではない!」と叫ぶなか、凶暴なまでに激しく殴られそして、持ち込んであったガソリンが2人に注がれたのです。
そこに集まった群衆がリカルドさんとアルベルトさんに火がつけられた瞬間を捉えようと、多くの携帯電話が高く掲げられたのです。
引用:/www.bbc.com
このありもしない嘘を作り拡散させた人物は、アカトランに長年住む「エル・テクアンニト」こと、フランシスコ・マルティネス容疑者です。
フェイスブックとワッツアップでリカルドさんとアルベルトさんを非難するメッセージを拡散した犯人のひとりだったのです。
マルティネスが住民を集めようとしていた時、警察署の隣にある町役場の屋根によじ登り、鐘を鳴らし、警察がリカルドさんとアルベルトさんを釈放するつもりだと住民に警告した男は「マニュエル」とだけ発表されています。
そして3人目の男、「エル・パイサ」ことペトロニロ・カステランは拡声器を使い、2人の男性に火を付けるためのガソリンを買うために、カステランは群衆の中を歩いて寄付を集めたのです。
多くの群衆がスマートフォンで二人が焼かれる様子を動画に納めていたのですが、リカルドさんの母親マリアさんはFacebookに投稿されていたライブ動画を見て自分の息子が被害にあっていることに気付いたのです。
Facebookのコメントに「殺さないで!傷つけないで!息子は誘拐犯ではありません!」
とコメントしたのですが、マリアさんの声は届きませんでした。
その後、この暴動を先導したフランシスコ・マルティネス含む5人が逮捕されました。
メキシコ・フェイクニュースを信じた住民達が無実の男性二人を集団リンチ事件 まとめ
真実でもない嘘が集団心理で信じてしまう恐ろしさ、こんな悪質なフェイクニュースを信じてしまったがために、無実の人を殺めてしまうとは本当に恐ろしいことです。
フェイクニュースは世の中にたくさん蔓延しています。
フェイクニュースは拡散した人物が爆発的な収入を得られるために、平気でアリもしない嘘を書くのです。
必ず冷静になって物事を見てください。
そして真実を確認してください!
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